装置組立では様々なトラブルに見舞われることがあります。
設計に起因するものや、部品の加工精度によるものなど、実に様々です。
そのとき起こったトラブルをどのように解決したかを、後からわかる形で残す必要があります。
今回はその必要性を考えましょう。
なぜメモしておくのか
本当にいろいろなトラブルがおきますが、実はトラブルの種類はある程度限られてきます。
それを突き止めるためにも、できるだけ詳しくそのときの状況をメモしておきます。
メモをためていきそれらを分析していけば、どういったトラブルが起きやすく、どこが原因になりやすいか、などの傾向が見えてきます。
また、現場作業者がそれらを設計者へフィードバックすることで、次回からの修正点として反映させていくこともできます。
さらに言えば、設計者も現場作業者も、たまってきたメモを読み返すことで、過去にどういったトラブルに見舞われて、どう解決してきたかが分かります。
それを今後の自分の作業に活かすことができれば、早期レベルアップが見込めます。
調整方法なども分からなくなることの一つとしてあげられます。
同じ作業でも作業担当者が変わってしまった場合に、以前の担当者がどのようにして調整していたかがわからなくなり、再度考えることで無駄な時間を浪費します。
引継ぎがしっかり行われていれば問題ありませんが、そのようになるとは限りません。
そういった場合のことも考えて、やはり事細かにメモを残しておくことは非常に有用といえます。
どのようにメモしておくか
「いつ」・「どこで」・「なにが」・「どのように」・「どうした」
このように単純ではありますが、トラブルの内容をできるだけ詳細まで書き出していきます。
起こったことというのは意外と後になって忘れてしまうことが多いため、詳細まで書き出す必要があります。
文章に起こし忘れたことがあったとしても、できるだけ細かく書いておけば、それを読み返したときに状況を思い出し、内容の補間ができることもあります。
「何を」・「どのように」・「どうした」
解決方法もパターン化して詳細を書き込むことで、分析しやすくなります。
また、書き出す人によってまとめ方がばらばらになりやすいので、上記のように簡単でもいいのでルールを作っておいてメモしていけば、後でまとめやすくなります。
具体的に書くために、数字を使えるところは必ず数字を使う
例として
- 機構部Aの部品Bを固定するための通し穴がφ10のところがφ8となっていたため、穴径をφ10へ修正した
- 機構部Cの部品Dと部品Eは図面上クリアランスを3mmとしなければならないが、部品Eと部品Fが干渉してしまったため、クリアランスを5mmとし、機能上問題ないことを確認した
このように寸法値などは数字を使って詳細を書き込んでいきます。
ただし文章では限界もあるため、図面に書き込んで説明できるものはそのようにしていき、付箋などを貼り付けて説明文と紐付けて仮にまとめます。
後日データ化して正式に管理します。
図面への書き込みだけの場合、後で見たときに何でこのようにしたか理由が分からないことがあるので、必ず説明文と合わせてメモしていく必要があります。
図面に説明文を直接書き込んでもいいでしょう。
そのあたりは簡易的なルールを作って共有していけばいいと思います。
トラブルによる弊害
同じ失敗を繰り返すと、作業者のモチベーションが下がります。
もしその失敗が設計に起因するものだったら設計者への不満が募るでしょうし、逆もまた然りです。
それが繰り返されれば人間関係にも不具合を起こしかねません。
人間関係という非常にデリケートな問題に発展してしまう前に、作業環境の仕組みづくりでそれを食い止めることができます。
もちろん個人の努力も必要にはなります。
そして失敗を減らす仕組みのひとつとして、メモの管理が役立ちます。
まとめ
このようにトラブルに関するメモを管理することは、装置の質を向上させるために必要なことで、なおかつ簡単に行うことができ、非常にオススメです。
同じ失敗を繰り返すことほど効率の悪いことはありませんし、失敗した経験を資産にしていかなければ意味がありません。
失敗は成功の元なのです。
装置だけでなく作業者の質の向上にもつながるため、一石二鳥の方法です。
ぜひ実践してみましょう。
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