機械組立に従事している方なら、ボルトに平座金(平ワッシャー)や、ばね座金(スプリングワッシャー)を組み込むことは日常的に行っていると思います。
少ない本数に対して座金類を組み込むことは差ほど苦になりません。
しかし本数が多い場合は非常に手間のかかる作業になります。
そういったときに是非使用したいのが座金組み込みタイプのビス(ボルト)セムスです。
今回はセムスのメリット・デメリットを紹介します。
メリット
座金が外れない
組み込みがうたい文句のセムスなので当たり前なのですが、最初からボルトに座金が組み込まれているので絶対に外れません。
逆さまにしようが締めて外してを繰り返そうが、外れることはありません。
製造段階ですでにねじと頭の間に入れ込んでいるので、寸法的に外れません。
座金の入れ忘れ、入れ間違いがない
最初から指定した座金が組み込まれているので、手作業で座金を組み込んで入れ忘れたり、入れ間違えたりする心配はありません。
手作業ではばね座金を入れるのを忘れたり、平座金とばね座金が逆になってしまったり、平座金が2枚入ってしまったり、様々な間違いが起きますが、セムスはそういった心配はありません。
種類があるので用途に合わせて選ぶことができる
セムスにはナベねじや六角穴付きボルトや六角ボルトなど、様々なボルトにラインナップがあります。
また、座金も平座金だけやばね座金と平座金を両方入れるタイプなど、いくつかのパターンから選ぶことができます。
呼び方が決まっているので、覚えておくといいでしょう。
呼称 | 座金の種類 |
P=1 | 平座金 |
P=2 | ばね座金 |
P=3 | ばね座金+平座金 |
P=4 | ばね座金+小型平座金 |
注文するときは、材質・ビス(ボルト)の種類・長さに加えて、セムス P=3 のように、セムスであることと、P=いくつなのかを明記すれば問題ないです。
デメリット
座金の交換ができない
座金が外れないことはメリットでもありデメリットでもあります。
一度使用してばね座金が完全につぶれてしまった場合には交換したくなりますが、外すことができないので交換できません。
平座金が変形した場合なども交換できないので、ボルトごと交換することになります。
薄い板のねじ穴では固定できない場合がある
座金が組み込んである部分はねじがありません。
このねじがない部分に座金が組み込まれていますが、座金は軸方向にある程度遊びがあります。
遊びがあるということは、座金の厚みよりもねじがない部分が長いということです。
ということは、ねじがない部分がねじ穴を抜けてしまったら、それ以上締め込むことはできなくなります。
価格が高い
座金とボルトの組み合わせで使うよりも、セムスのほうがやや高額になります。
これは仕方がないことですが、便利なものは高いということです。
セムスを使いたい場所
冒頭でも軽くふれていますが、座金を大量に組み込むことを考えると、セムスを選択すれば時間短縮できて効率があがります。
また、外すことが想定されている場所もセムスが適しています。
取り外したときに座金が脱落する可能性があるので、セムスでそのリスクを回避できます。
組立がやりにくい場所もセムスを選択すると効率が上がる場合があります。
座金がボルトから抜けないように支えながら、ねじ穴まで到達できないような場所では必ず役にたちます。
そういった場所は組み立てるときも苦労しますが、万が一分解しなければならないときにさらに苦労することになります。
そうなりそうな場所は優先的にセムスを使いましょう。
まとめ
セムスは価格はやや高いものの、それに見合った仕事をしてくれる優れものです。
時間短縮やリスク回避に積極的に使っていきましょう。
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